ビデオ監的スコープ実験(その3)

20040805 「い」

 7月19日の全日本クラブ選手権大会の時に、藤枝の電子標的をFS-60Cで撮影してみました。電子標的ですから本来監的は必要ないのですが............以前、伊勢原でのクラブ対抗戦の際に、壊れている(と後で知った)電子標的相手に、首をかしげながら撃ち終わり、400点くらいで終わったことがあり、いつか機会があれば電子標的を監的しながら射撃したいと思っていたのでした。

藤枝の射場は50mなのに室内射場で、すごい。これでエアコン完備ならもっとすごい!

さすがに室内では陽炎は全くなく、ビターっと像が止まるのですが、なんと、暗ぁ〜い。とっても暗ぁ〜い。FS-60Cでは、電子標的のゴムロールに残るかすかな弾痕を眼視では確認できるのですが、ビデオモニター上ではめいっぱい感度を上げてもわかりにくいでした。いちおう静止画像を掲示しましたが、見るに値しません。次回はFS-102をかかえていくことにしましょう。

藤枝射場の電子標的のビデオ像

鏡 筒 エクステンダ
レンズ使用
エンクステンダ
チューブの数
接眼レンズ TCA延長
の有無
観測
焦点距離
画 像
1 FS-60C なし 0 PJ20 あり 2230mm



ビデオ監的スコープ実験(その4)

20040806 「い」

  9月の全日本クラブ選手権大会(BFR)に備えて長瀞に調整に行きました。その際に100mと300mの標的ビデオ像をFS-102で撮影しましたので提示します。この夏は本当に暑くて、コートを着ての射撃はけっこう引くものがあったのですが、6mmBRの銃身をリチャンバリングしてスリーブを追加したので、最低限サイト合わせはしなくては試合に臨めません。

300m射場は風がさわやかだったこともあり、カンカン照りのなか、何とかしのげるコンディションでした。300m標的は例によって輝くばかりに明るいです。ここの300m標的、ピープサイトでは本当に見にくいですよね。

まず、サイト合わせのために100m。
室内なので、藤枝と同じく、まったく陽炎はありません。しかし、FS-102をもってしても く、暗い。藤枝ほど暗くはありませんが、かなりビデオカメラの感度を上げないと像になりません。感度を上げると、監的には特に困ることはないのですが、静止画にしたときにとてもノイズが多くて、ざらざらの像になってしまい、見栄えがしません。今回はFS-102を持ってきているので、監的にはまったく困らない程度の像になっていますが、FS-78ではだめかもしれません。

続いて300mの標的。
こちらは時間の関係で、射撃はせずに、ただ撮影しただけです。さすがに屋外で明るいため、現用のビデオカメラの感度は十分で、ノイズはほとんど無いきれいな像です。陽炎は少しあります。300m射場は標的の近傍だけが屋外なのですが、その短い距離でこれだけ陽炎が出ると言うことは、屋外の300m射場では陽炎との戦いが大事なポイントになるのでしょうね。

今回は300mでは射撃をしていないので、ビデオ像での弾痕の確認は未知です。射場設置の監的モニターでも同様なのですが、長瀞の300mでの、黒点に入った弾痕の確認は、標的の後ろに設置してある白幕がうまく弾痕を通して見えているかに依存しています。バックストップは穴蔵のような暗いところなので、弾痕が開いても、その後ろに白幕が無いと黒点の黒とバックストップの黒でまったく見えません。この大事な白幕、結構ぼろぼろで、標的の10点圏の後ろあたりが大穴になっていてちっとも弾痕が見えないことが少なくありません。

結果:藤枝の50mや長瀞の100mなどでは標的の照度が低く、現用のビクセン天体用ビデオカメラではビデオ像のノイズが多い。ただし、FS-102クラスの光学系を用意すれば監的にはまったく十分である。長瀞の300mでは(晴天なら)標的が明るく、FS-102ではビデオ像もきれいである。

考察・結論:人工光での照明の標的では、標的の照度が十分でなく、FS-78かそれ以下の光学系と通常のCCDを用いた高感度カメラの組み合わせでは、強い増幅が必要で、ノイズが多く実用的ではない。ただし、FS-102クラスの光学系を用意すれば監的にはまったく十分である。

一方、長瀞の300mなど、自然光で見る標的では晴天であるかぎり現用のビデオカメラの感度の問題はない。しかし、曇天、冬の夕暮れ時などで同様の問題は予想される。晴天であるかぎり射場設置のモニターと同等の能力はありそう(そんじゃぁ長瀞300mでは意味無ぃじゃん)。

最も大事な弾痕確認については、分解能の面から検討すると、FS-102では分解能は1.14"ですから、300m先では約1.6mmであり、6mmBRの弾痕なら、弾痕のコントラストが十分なら問題ないと思われる。

最終的には照度が低いなか、又はコントラストが低いなか、どれだけノイズの少ない画像を得られるかにかかっていましょう。最近は256フレームくらいを加算できるCCDカメラもあるようなので試してみますかね。それか冷却CCDに走るか。IIも良いかもしれない。こうなると完全に監的のための監的ですなぁ。

TODO:300mで、FS-102にエクステンダーレンズを使用しての撮像。

埼玉県長瀞総合射撃場大口径ライフル射撃場(100m)の標的のビデオ像

鏡 筒 エクステンダ
レンズ使用
エンクステンダ
チューブの数
接眼レンズ TCA延長
の有無
観測
焦点距離
画 像
1 FS-102 なし 0 PJ20 あり 4950mm ビデオ像

100mの標的ビデオ像を見ていただければわかりますが、さすがに6mmBRとはいえ大口径、発射と同時に標的が(と言うか、爆風でFS-102の鏡筒が)ゆれて、その約1/6秒後くらいに標的に穴が開くのが観察できます。


埼玉県長瀞総合射撃場大口径ライフル射撃場(300m)の標的のビデオ像

鏡 筒 エクステンダ
レンズ使用
エンクステンダ
チューブの数
接眼レンズ TCA延長
の有無
観測
焦点距離
画 像
1 FS-102 なし 0 PJ20 あり 4950mm ビデオ像

つらつら考えていると、FS-60Cでも300m先の約2.7mmを分解できるのだから、分解能だけならすべての種目でFS-60C程度でよいのでしょう。計算上10000mmくらいの焦点距離相当の拡大も可能だし.......あとは超高感度カメラで...........

文責・著作 「い」

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