ビデオ監的スコープ

20040611 「い」
20040624追記「い」
20040704追記「い」
20040806追記「い」
20070615追記「い」

 怠惰は文明の母と固く信じ、いかに楽をするかを研究テーマとする筆者がライフル射撃を始めたのは1997年のことです。

始めてまもなく、怠け者の私は、射撃をしながら監的スコープをのぞき込むという作業に、著しい苦痛を感じて、早くもドロップアウトの危機が訪れたのでした。

当時私はビデオカメラ付きの顕微鏡が仕事道具の一つで、毎日大半の時間をディスプレーとにらめっこしていましたので、モニターを見るのが普通の状態で、アイピースをのぞき込むのがとっても苦手だったのです。

というわけで、望遠鏡や写真機にはまり、光学やビデオ信号処理にも長ずると自負していた私は早速にビデオ監的スコーププロジェクトに挑戦したのでした。

 まずは秋月に行って1/3"のモノクロCCDカメラを数千円で調達してきます。えぇと、これだとCCDサイズは4×7mm強でしょうか。SB標的の8点圏は約40mmです(ライフル射撃標的の規格参照)。まぁ、筆者はプローンしかやりませんので、この範囲が手元モニターに表示できればいいでしょう。ということは50m先の40mmの円を手元に4mmくらいの大きさに写せればいいわけです。

う〜みゅ。焦点距離5000mmですか。直焦点は無理ですなぁ。手元にタカハシの天体望遠鏡鏡筒FS-78(口径78mm, 焦点距離630mm)がありましたので、ちょっと実験です。

FS-78の元の焦点距離680mmを、タカハシ純正のバローレンズのバリエクステンダーレンズを使って3倍にのばして、約2000mm。

または、タカハシの拡大撮影用アダプターのTCA-4とアイピースを使用しての拡大撮像。タカハシの撮影用アイピースのPJ20があったのでこれとTCA-4を組み合わせると、計算すると、TCA-4の繰り出しなしで約5倍くらい、約3000mm。

これは実際に試してみるしかないと、勇んで実験してみましたが、裸基盤のバルクのCCDではてんでだめでした。感度、コントラスト不足です。ぼーっとなんかが見えるだけ。

挫折しかかるも、天体観測用の高感度ビデオを使えばいいと気づき、ビクセンの天体用モノクロ高感度CCDカメラB05-3M (1/4"CCD)を調達。これで50mSB競技では十分でした。コントラスト調節、感度ブーストなども付いてよし。

SBの試合、しばらくはこれで好調に使っていたのですが、ある笠間(茨城県狩猟者研修センター)での大口径の試合の日。標的は100m先。ここまでは大丈夫でした。黒丸の視角はどの距離でもあまり変わりませんし、屋外で結構明るかったので。ですがぁ、問題は別なところに....多問的だったのです。10発打ち終わるごとに架台を微調節して標的を視野に導入しなくてはなりません。これは全く非現実的。倍率が高いこともあり、きわめてストレスです。

というわけで、第1次完成版は以下のとおりになりました。

圏的間の移動をスムーズにするために経緯台を電動にしたのでした。まあ、今時の天体観測ではごく当たり前のことです。

この状態でしばらく好調に使っていたのですが、またもや怠け者の本性がこうべをもたげてきます。シャープの8インチの液晶テレビをモニターにしていたのですが、FS-78では、たぶん、よく見えすぎているのです。画面の上の標的像は目の前に実物の標的があるのとほとんどかわらない!!
じょじょに「もっと小さなレンズでも良いのでは」という悪魔のささやきが おおきくなってきました。

それで、FS-78より一回り小さな鏡筒FS-60C(口径60mm, 焦点距離355mm)を調達してきました。

これでとてもコンパクトになり、移動時は鏡筒、アイピース・カメラ、架台・三脚の3パートに分割して良い具合です。この大きさならシューティングバックに十分入ります(ということはFS-78システムではとても入りきらなかったと言うこと)。現在でもSBの試合ではこれを使っています。SBでは標的交換機を使うので、試合中にスコープの調整が無く、これで全く十分です。

このシステムでのビデオ像を提示しておきましょう。アイピースがPJ20、TCA-4を最も繰り出した状態の像です。8インチ液晶モニターを使うと、目の前に標的があるのとほとんど変わりません。

射撃前 1発射撃後 5時方向9.0
FS-60C(対物レンズ径60mm,焦点距離355mm),エクステンダーレンズなし,TCA-4繰り出しあり,アイピースPJ20,1/4"CCD. 合成焦点距離 約2230mm

いくつかのシステムチャートはこんな感じです。


天体望遠鏡ですからね、B05-3Mは上下を逆さに、回転して、装着しないと、像の上下が逆になります。

この組み合わせ(エクステンダーレンズ使用、エクステンダーチューブなし、接眼レンズPJ20、TCA-4繰り出し有り)では焦点距離は約6420mmになり、ビデオ像はほぼ8点圏のみの強拡大ですが、実際に使ってみると拡大しすぎでかえって不便です。致命的なのは試射的なのか、何枚目の標的なのかが全くわからないことです。実際、連続標的の黒点と黒点の間の折れ目の近くにマーカーで試射的の印と何枚目かを書いておきました。こうすると標的送りの時に数字が見えます。

この組み合わせ(エクステンダーレンズなし、エクステンダーチューブなし、接眼レンズPJ20、TCA-4繰り出し有り)で焦点距離約2230mmで、上に示した像が得られます。TCA-4を使うメリットは、

です。いつものSBの試合ではこの組み合わせで使用しています。

追記(2004/06/24)

6月20日の試合の時に各種のシステム組み合わせでビデオ像を録画してきました。詳細はこちらをご覧下さい。

追記(2004/07/04)

7月4日の試合の時にFS-102でのビデオ像を録画してきました。詳細はこちらをご覧下さい。

追記(2004/08/05)

長瀞の大口径ライフル射撃場で300mと100mの標的、および、藤枝の電子標的のビデオ像を撮影してみました。

追記(2007/06/15)

フレーム蓄積型高感度ビデオカメラWATEC TGv-Mを真壁SB射場で使ってみました。

使用した機器についての詳細は天体望遠鏡の専門メーカー「タカハシ」スターベースVixen等を参照してください。

文責・著作 「い」

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