ビデオ監的スコープ実験(その5)
20050619構想,20070615記述 「い」
FS-60C+PJ20+TCA-4+B05-3Mの組み合わせはコンパクトでとても使いやすいのですが、100m以上の距離で、特に明るさに難がある環境では十分な性能とは言えません。これまで報告してきたとおり、対物レンズ径を大きくすることが解決の王道ではありますが、ただでさえ荷物の多いライフル射撃では監的に過大な労力を注ぐのは本末転倒であります。
と思っていたところ、久しぶりに天文雑誌を眺めていると、フレーム蓄積式のCCDカメラが安く出ているではありませんか!!
この手のカメラの頂点は冷却CCDになるわけですが、さすがにこれは適当でないし、高価でもありますので、考えていなかったのです。ですが、コントローラーを含めて手のひらサイズのフレーム蓄積式ならば検討の価値はありそうです。
早速、感度調節に加えて256フレームの加算が可能なWATEC製TGv-Mを調達してきました(当機種は2007年6月現在生産終了で後継機種がWAT-100Nとして発売されているようです)。以下に実物を示します。
TCA-4の左の銀色の四角い部分がビデオカメラで、右上はコントローラーです。
早速、2005年6月19日の月例競技会の際に真壁の50mSB射場で試験をしてみました。
結果:GainをHI,Frameを2での映像と、GainをLO,Frameを8での映像がだいたい同じくらいの明るさで、監的に適当でした。ΣFrame 2では弾丸が飛翔して標的に穴を空けるところが何となく見えて、興味深いです。ΣFrame 8では、8/30sec毎の画像になりますので、ややぎくしゃくした印象があり、いつのまにやら標的に穴が、という感じです。監的ですので別に静止画でもかまわないわけで、特に支障はありません。
続いて、データとりのため、撮影しながらΣFrameをOFFから変化させていった映像を撮っておきました。GAINを、OFF,LO,HIGHで、それぞれΣFrameをOFF〜16, OFF〜8, OFF〜4に変化させてあります。GAINがOFFまたはLOではフレーム蓄積なしではほとんど何も見えません。GAIN OFFでも16FRAME以上の蓄積では明るすぎて映像になりません。
考察・結論:ビデオカメラのframe rateは30/secですので、16frameの蓄積で約0.5秒、256枚の蓄積では約8秒に1枚の映像になります。今回の試験では、感度としてはまだまだ余裕がありそうですが、蓄積時間がありますので、動きの大きい対象はうまく撮像できません。監的という場面では、陽炎が強いときはぼけぼけになるのでしょう。しかし、陽炎が強いときは晴天の明るいときですから、フレーム蓄積なしで撮像できるはずですから問題ないと考えます。
TODO:長瀞の100mなど、ビデオカメラにとって悪条件での試験。
真壁の50mSB射場(50m)の標的のTGv-Mでのビデオ像
鏡 筒 | 接眼レンズ | TCA延長 の有無 |
TGv-M GAIN |
TGv-M GAMMA |
TGv-M FRAME |
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1 | FS-60C | PJ20 | あり | HI | - | 2 | ビデオ像 |
2 | FS-60C | PJ20 | あり | LO | - | 8 | ビデオ像 |
3 | FS-60C | PJ20 | あり | OFF | - | OFF〜16 | ビデオ像 |
4 | FS-60C | PJ20 | あり | LO | - | OFF〜8 | ビデオ像 |
5 | FS-60C | PJ20 | あり | HI | - | OFF〜4 | ビデオ像 |
文責・著作 「い」